
/PAST EXHIBITIONS
Art Mumbai
'Maitri 2.0'
2024/11/14 Thu. ~ 11/17 Sun.
Race Course, Royal Western India Turf Club,
Mahalakshmi, Mumbai, Maharashtra,
400034, India
Booth No.- 34

/India Art Fair
Maitri 2.0
Galerie GEEK/ARTは、Art Mumbai 2024においても、「Maitri - マイトリ(慈しみ・友情)」をテーマに出展します。本展は、私たちが互いに結びつき、この世界を共に生きているという深い絆を映し出します。
古代の知恵と現代の感性、両者に根ざしたこの企画は、歴史的な洞察と現代的な視座をつなぎ合わせながら、「つながり」という普遍的かつ今日的な概念を静かに問い直します。
今回の『Maitri 2.0』は、現代の複雑な世界において「Maitri (慈しみ・友情)」を再構築する試みとして、個人的でありながら同時に広がりをもった探求として展開します。
矛盾は意味ある対話へと変容し、パラドックスは新たな可能性の契機となります。
SHUN SUDO、ヤノベケンジ、金子富之、浅井裕介、イトウ マリ、GOMA、沼田由佳といった日本のアーティストたち、そしてインドからはターニ・セティとサジド・ワジド・シェイクが参加し、文化を越えた多層的な人生のリアリティを織り成します。
それは、共有された人間経験のモザイクとして、観る者の心に響きます。
『Maitri 2.0』は、存在の複雑さと変化を体現するアーティストたちの実践を通じて、鑑賞者自身の「つながり」=マイトリを見つめ直す場を創出します。
普遍的でありながら極めて個人的なレベルで響く視覚表現を通じて、相互に結び合う世界の姿を描き出し、現代アートという多様な地平を横断しながら、そこにひそむ真実を探り出します。
/Maitri 2.0
Artists
GOMA
B. 1973 in Tokyo, Japan
GOMA(ゴマ)は、伝統と現代性を融合させるディジュリドゥ奏者・画家として国際的に高く評価されているアーティストである。1998 、オーストラリアの「Barunga Didgeridoo Competition」にて、初の非先住民の優勝者として脚光を浴びた。帰国後は「ジャングル・リズム・セクション」を結成し、ダンスやワールドミュージックとディジュリドゥを融合させた新たな音楽表現を切り拓いた。2009 、交通事故により重度の脳外傷と前向性健忘を負うも、それがきっかけで思いがけず絵画への情熱が芽生える。2018 には「後天性サヴァン症候群」と診断され、昏睡状態で見た鮮烈な風景を再現するような、緻密なドット・ペインティングを描き続けている。その絵画は、意識下の現実を映し出すかのような深いヴィジョンを宿している。数々の困難を乗り越え、2011 には音楽活動も再開。自身の体験を描いた映画『フラッシュバック・メモリーズ 3D』は高い評価を受け、多くの賞を受賞。日本のテレビ番組でもたびたび取り上げられ、その復活と創造の軌跡は多くの人々に感動を与えている。現在も、ミュージシャン、画家、講演者として世界を舞台に活動を展開。逆境のなかでこそ輝く芸術の力を体現し続けている。
Kenji Yanobe
B. 1965 in Osaka, and currently based in Kyoto, Japan
ヤノベケンジは、テクノロジー、社会、人間の存在をテーマに探求する現代美術家である。核エネルギーや戦争の影響といったシリアスなテーマを扱いながらも、サイエンスフィクションやマンガ、ポップカルチャーの要素を取り入れ、遊び心と批評性を併せ持つ作品を制作している。彼の作品には、しばしばロボットやメカニカルな要素が登場し、テクノロジーがもたらす未来への不安を可視化している。代表作《サン・チャイルド》は、放射線防護服を着た子どもが輝く太陽を掲げる姿を描いた彫刻で、核エネルギーの遺産を象徴している。近 では、《シップスキャット》というテーマも注目を集めている。これは、大航海時代の船乗りたちと共に旅をした猫に着想を得た、未来の宇宙探検者に希望をもたらす存在として表現されたキャラクターであり、さまざまな彫刻作品として国内外で展示されている。ヤノベは、アートを通じて社会の変革を促し、人類が直面する課題への洞察を提示し続けている。
Mari Ito
B. 1980 in Tokyo, Japan and currently based in Barcelona, Spain
MARI ITO は、日本画を基軸に活動する現代アーティストである。2006 にバルセロナへ移住後、2次元の絵画表現に加え、彫刻作品にも取り組み、伝統的な技法に独自の大胆な美学を融合させている。作品の源泉には、幼少期の体験があり、アニミズムや欲望、人間の本能的な側面を探求している。特に、顔のある花を描くことで、ユーモアや感情を視覚化し、観る者の感覚に訴えかける表現を確立している。これまでにバルセロナ、バーゼル、イスタンブール、ニューヨークなど国際的な都市で作品を発表しており、バルセロナのガウディ建築「カサ・ビセンス」や、マドリードの王立植物園での展示は特に注目された。アートフェアにも積極的に参加し、パリ、香港、シンガポール、マイアミ、東京などの主要フェアで紹介されている。2023 には、ARCOマドリードで特集アーティストとして選出された。また、リリアン・バーグ、ベルシュカ、三越日本橋といったブランドとのコラボレーションも行い、アートと現代文化を横断する活動を展開している。
Sajid Wajid Shaikh
B. 1989 in Mumbai, India
サジド・ワジド・シェイクは、エンジニアリングの原理と有機的な直感を融合させる創作プロセスを持つ、マルチディシプリナリー・アーティストである。彼の制作は多様なテーマとメディアにまたがり、その核にはドローイングがある。彼の作品は、周囲の環境に対する感覚的でカタルシス的な反応を映し出すものとなっている。ドイツ表現主義や抽象表現主義の影響を受けたサジドのドローイングには、抽象的でしばしばグロテスクな顔が描かれ、即興性と想像力を体現している。彼のスケッチブックは、立体的な物語装置としての役割を果たし、鑑賞者に解釈を委ねる開かれた物語の世界を提示する。
近年では、ソル・ルウィットやデュシャンといったコンセプチュアル・アーティストから影響を受け、サジドの制作はより概念的な方向へと展開している。日常的なオブジェクトを機能性から切り離し、異なる文脈に置くことで、ものの在り方や認識を問い直し、それらを詩的かつ哲学的に再構築する。多くの作品にはタイトルがなく、偶然性や不条理性を際立たせている。サジドの物語性に富んだ作品群は映像へと広がり、彫刻、音、写真、ドローイングを融合させたマルチ・ナラティブな体験を生み出している。進行中のプロジェクト《Pie-Pie》では、ポスト・インターネット時代におけるトロール文化の台頭をテーマに、SNSやオンライン行動の影響をデジタルポートレートやピクセル化された美学を通じて探求している。
Tarini Sethi
B. 1989 in New Delhi, India
ターニ・セティは、ニュー・デリーを拠点に活動し、民話や神話に触発された作品を通じて、身体意識やセクシュアリティを探求している。絵画、ドローイング、金属彫刻といった多彩なメディアを駆使し、性別や美の固定観念に縛られない身体のあり方、そして性的解放をテーマにしたユートピアを描いている。彼女の創り出す世界には、人間らしいもの、動物的なもの、そのどちらでもない存在たちが登場し、迷宮のような空間や多肢の擬人化された構造のなかで、思考し、語らい、愛し、そして繁栄している。その作品は、メンタルヘルスの低下、政治的分断、共同体主義への懐疑、自然環境の破壊といった現実への応答であると同時に、インド美術史への深いまなざしにも根ざしている。カリガート絵画、ミニアチュール、カヴァド、トール・ボンマラタなど、インド亜大陸に広がる伝統的表現からインスピレーションを受け、独自の視覚言語を築いている。『Architectural Digest India』など多数のメディアで紹介され、Mumbai Urban Arts Festival、IICギャラリー、Chemould CoLabなどでの展示にも参加。現在もムンバイを拠点に、身体と想像力の自由をめぐる創作を続けている。
Yuka Numata
B. 1992 in Chiba, Japan, and currently based in Tokyo and Chiba.
沼田由佳は、デジタルと物理世界の境界を横断するアーティストである。2022 に東京藝術大学を卒業し、2019〜2020 にはウィーン美術アカデミーにて学んだ経歴を持つ。彼女の作品は、2次元と3次元の空間が交差する地点を探求している。Photoshopなどのソフトウェアを用いて、意図的にデジタルグリッチ(画像の乱れ)を生成し、それをピクセル単位の精密さでプラスチックビーズによって物理空間に再構築する。こうして生まれるインスタレーションや半立体の作品は、現実とデジタルの認識に挑み、両者の分岐点や重なりにまなざしを向ける。沼田のアートは、デジタル画像に潜む不完全さやズレを通じて、触れられるものと仮想空間のあいだに存在する境界線を問いかける。彼女の挑戦的な作品は、現実とデジタルが流動的に交差する未来のヴィジョンを観る者に提示する。
⾦⼦富之
B. 1978 in Saitama, Japan, and currently based in Yamagata, Japan
⾦⼦富之は、現代⽇本画において⽴ち位置の異なる独⾃の声を持つ画家である。幼少期から、⼟地の神々や妖怪、⾃然に潜む⽬に⾒えない存在に強く惹かれ、それら霊的な世界を⽇本画で表現したいという想いを抱いてきた。彼の作品は、⽇本の⺠間伝承や仏教、ヒンドゥー教の神話体系の影響を受けながら、妖怪、霊、鬼、神々といった題材を積極的に取り上げており、⽇本画の枠組みの中でも稀有な世界観を描いている。現在は⼭形を拠点に制作を続けており、⽬に⾒えない存在との対話を試みるような⼤胆な構図で、精神世界への探求を反映している。主な展覧会に、ミヅマアートギャラリー(東京)での《うんざりした⻁》(2021 )、《怒れる神々》(2017 )、またKAAT神奈川芸術劇場での《詩情の森-語られる空間》(2017 )などがある。
SHUN SUDO
B. 1977 in Tokyo, Japan and currently based in Tokyo & New York based in Yamagata, Japan
SHUN SUDOは、東京を拠点に活動する現代アーティストであり、絵画、彫刻、ドローイングなど多岐にわたる表現を展開している。東京で育ち、伝統的な日本文化と進化するストリートカルチャーの両方から影響を受けた。彼の作品は「つながり」「平和」「愛」などの普遍的なテーマと、アートと動きの関係性を探求している。20代で渡米後は世界各地を旅しながら独学でアート技法を習得した。
SUDOの作品は、スケートボード、グラフィティ、マンガ、アニメなど、日本とアメリカのポップおよびストリートカルチャーの要素を、日本画や墨絵の伝統技法と融合させている。この融合により、「高尚な芸術」と「大衆文化」の境界を超えた、異質性と調和が共存する美学を創出している。ポップアート的な要素を持ちながらも、現代社会や政治的課題に対する批評的な視点を内包しており、SHUN SUDOならではの現代生活への眼差しが表現されている。