
/UPCOMING EXHIBITIONS
Series 'Polyphony' Pale Weight
Eimi Suzuki
2025/10/18 Sat. ~ 11/16 Sun.
Opening Hours.
Mon/Thur/Fri / Sat / Sun: 14:00~18:00
(Closed on Tuesdays and Wednesdays)
Opening Reception
Date: Fri, 17th October, 2025
17:00~19:00
(no reservation required)
Galerie GEEK/ART
1F 6-23-6, Jingumae, Shibuya-ku, Tokyo, 150-0001 Japan
/Eimi Suzuki
Pale Weight
Series Polyphony
スズキエイミの制作は、古典芸術への敬意を前提としながら、新たな技術によるモンタージュを用いて「芸術のための芸術」と誠実に向き合う試みでもあります。
過去の作品《Multi three graces》では、世界各地に存在する多様な宗教や信仰の在り方を参照しながら、「人々が信じる神は姿形こそ異なれど、根底には共通する何かがあるのではないか」という問いを投げかけました。この探究は、異なる声や旋律が共鳴し合い、ひとつの調和を生む “Polyphony” の概念とも深く響き合っています。
本展で発表される新作《She, Still Life》では、古代ギリシャ神話に登場する三美神——美(Beauty)、愛(Love)、創造(Creativity)を象徴する女神たちをモチーフに据えています。その姿は、力による支配ではなく、感受性や調和によって世界に影響を及ぼす、非暴力的な力の象徴でもあります。作品にしばしば登場する蛇は「再生」や「変容」のシンボルであると同時に、医療の象徴である「アスクレピオスの杖」、さらには創世記のアダムとイヴの物語にも連なるアイコンです。
これらのモチーフが長い歳月を経て磨かれた大理石に刻まれた造形は、光と陰、沈黙と声を内包しながら、鑑賞者の心に静かな対話を呼び起こします。
タイトル《Pale Weight》には、淡さと重さという一見相反する言葉が並置されています。 Pale——淡い、微かな、儚い存在感。 Weight——重み、質量、重要性。 それは「目には見えづらいが、確かに存在し、心や身体に静かに作用してくる重み」を示唆しています。三美神が象徴するのもまた、淡く、しかし深く根ざす力。支配ではなく共鳴をもたらすその存在は、《She, Still Life》と《Polyphony》の間を静かに橋渡しする概念としても読み取れるでしょう。
「私ではない誰かの声」に耳を澄ますという行為は、目に見えないけれど確かな行為(Pale)であり、同時に個人や社会において非常に大きな意味(Weight)を持ちうるものです。あなたがこれまで気づかずにいた“淡い重み”とは何でしょうか。見過ごされた存在や他者の声の中に、どんな“重さ”が潜んでいると思いますか。私ではない「あなた」の声に静かに耳を澄ませてみる——そのような時間が生まれることを、心より願っております。